国宝 沖ノ島出土品「金銅製矛鞘」についての新知見についてのプレスリリースを行いました
2025年06月10日
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会では、令和6年度文化Innovate MUSEUM事業により、沖ノ島祭祀遺跡出土の奉献品のうち金属製品約4200点のX線撮影を行ったところ、「国宝 金銅製矛鞘(こんどうせいほこさや)」の内部に残る鉄矛に象嵌(ぞうがん)が確認されました。
これを受け、有識者とともにX線を用いたさらなる最先端の分析を行い、専門家と検討を進めてきた成果について、宗像大社と共同で記者会見しました。
鞘の内部に残る鉄矛は、6世紀後半から7世紀初頭のに朝鮮半島の系譜を引き、日本列島で製作された三角穂式鉄矛(さんかくほしきてつほこ)と考えられます。象嵌は全面に施され、文様は亀甲繋鳳凰文(きっこうつなぎほうおうもん)が変形したものと唐草文が組み合わさったものの可能性が高いと考えられ、国内外に類例はなく、当時の東アジアにおける鞘・矛の最高峰といえる優品です。矛の構造は実用性に乏しく、沖ノ島の祭祀で奉献することを目的として特別に作られた奉献品と考えられます。今回の発見は、ヤマト政権がいかに沖ノ島での祭祀を重視していたかを窺わせ、沖ノ島祭祀の解明に一石を投じる資料です。
本調査成果についての特別展示「永い眠りから覚めた 黄金の文様 国宝金銅製矛鞘特別公開」が宗像大社神宝館において令和7年6月14日(土)から8月31日(日)まで、世界遺産ガイダンス海の道むなかた館では関連展示「宗像武人の装い」が、令和7年6月13日(金)から7月27日(日)まで行われます。ぜひ足をお運びください。